項目反応理論

データ型

モデル母数

2母数

3母数

4母数

5母数

2値データ

名義データ

 

順序データ

連続データ

 

 

 

 

2値モデル

IRT2値モデルは,正誤データを分析するためのモデルです.

2母数ロジスティック(2-parameter logistic, 2PL)モデル

2PLモデルは,項目反応関数(item response function, IRF)の形状を2つの母数で代表させているモデルです.それらは,傾き母数A位置母数Bです.2母数モデルでは,能力値がθである受験者が,項目に正答する確率を,以下のように表現します.

Aが正だとIRFが単調増加となり,負だと単調減少となります.また,Aが大きいほど,IRFが急勾配になります.Bが大きいほど,IRFが正に位置します.

3母数ロジスティック(3-parameter logistic, 3PL)モデル

3PLモデルは,2PLモデルに下方漸近母数Cを加えたものです.Cが大きいほど,IRFの下限値が大きくなります.

4母数ロジスティック(4-parameter logistic, 4PL)モデル

4PLモデルは,3PLモデルに上方漸近母数Dを加えたものです.Dが小さいほど,IRFの上限値が小さくなります.

5母数ロジスティック(5-parameter logistic, 5PL)モデル

5PLモデルは,4PLモデルに非対称母数Eを加えたものです.IRFの形状は,E1.0のとき点(B, P(B))に関して点対称ですが,E1.0より小さく0.0に近いほど,IRFが負に歪みます.逆に,E1.0より大きいほど,IRFが正に歪みます.

ボックの名義モデル

Bockの名義カテゴリモデルは,誤答選択肢を分析することができます.いま,カテゴリ数がK個あるとき,項目カテゴリ反応関数(item category response function, ICRF)が以下のように表現されます.

項目母数の具体的な解釈が非常に難しいですが,Aが最も大きいカテゴリのICRFが最も正に位置されます.また,選択数が少ないカテゴリは,統合して1つのカテゴリにまとめると推定値が安定します.

Bock, R. D. (1972) Estimating item parameters and latent ability when responses are scored in two or more nominal categories. Psychometrika, 37, 29-51.

サメジマの段階モデル

Samejimaの段階反応モデルは,心理評定尺度データを分析することができます.いま,カテゴリ数がKのとき,ICRFは,以下のように表現されます.

Bk(θ)は,カテゴリk以上を選択する確率を表現している境界カテゴリ反応関数であり,5母数モデルまで選択可能です.

Samejima, F. (1969) Estimation of latent ability using a response pattern of graded scores. Psychometrika Monograph, No.17.

分析の設定

推定モデル

l  デフォルト設定は,「2値モデル」です.

l  正誤データを分析するときは「2値モデル」を指定します.

l  誤答分析をするときは「ボックの名義モデル」を指定します.

l  名義モデルを適用するとき,選択数が少ないカテゴリ数は,1つのカテゴリに統合したほうがよいでしょう.

l  心理評定尺度データを分析するときは「サメジマの段階モデル」を指定します.

モデル母数

l  2値モデルのデフォルト設定は,3母数モデルです.

l  名義モデルは,2母数モデルのみです.

l  段階モデルのデフォルト設定は,3母数モデルです.

等化(項目母数固定シート)

l  等化は,共時等化法(concurrent calibration)によって行います.

l  共時等化法は,すでに推定されている項目母数を固定しながら,等化する項目の母数だけ推定する方法です.

出力オプション

適合度指標

l  テスト全体の適合度と各項目の適合度を出力します.

l  出力される指標

・χ2乗値(自由度,p値)

NFI (normed fit index; Bentler & Bonnet, 1980) : [0, 1] 1.0に近いほど良い

RFI (relative fit index; Bollen, 1986) : [0, 1] 1.0に近いほど良い

IFI (incremental fit index; Bollen, 1989) : [0, 1] 1.0に近いほど良い

TLI (Tucker-Lewis index; Bollen, 1989) : [0, 1] 1.0に近いほど良い

CFI (comparative fit index; Bentler, 1990) : [0, 1] 1.0に近いほど良い

RMSEA (root mean square error of approximation; Browne & Cudeck, 1993) : [0, ] 0.0に近いほど良い

l  情報量基準:モデル同士を比較するための相対指標です.値が小さいモデルほど効率よくデータに適合していることを示します.

AIC (Akaike information criterion; Akaike, 1987)

CAIC (consistent AIC; Bozdogan, 1987)

BIC (Bayesian information criterion; Schwarz, 1978)

IRFグラフ

l  推定されたIRFと項目情報関数を図示します.

l  名義モデルを指定するとICRFも図示します.

l  段階モデルを指定するとICRFBCRFも図示します.

l  テスト反応関数とテスト情報関数を図示します.

正答率でソート

l  ワークシート「Items」において,項目正答率が高い順に項目の出力が並び替えられます.

l  段階モデルを指定すると,ワークシート「Items」において,項目平均の高い順に項目の出力が並び替えられます.