LA

最終更新日:2009/09/21

 

従来表記

ローマ字表記

/la/

/li/

/lu/

/le/

/lo/

カタカナ表記

参考文字

拉,ラ

立,リ

率,ル

了,レ

露,ロ

本項では,新カタカナ表の/a/行を補完した./la li lu le lo/に相当する発音は,日本語の発音にはないとされている.厳密に言うと,日本語の「ラリルレロ」の発音は,英語の/ra ri ru re ro/とも異なる.英語式の発音のように,日本語ではそれほど舌を巻くようには発音しない.実際は,/ra ri ru re ro//la li lu le lo/のどちらでもない.しかし,現実には,日本語をローマ字表記するときには,「ラリルレロ」⇒/ra ri ru re ro/とされ,外国語をカタカナで表記するときには,/r//l/も,/ra ri ru re ro/⇒「ラリルレロ」,/la li lu le lo/⇒「ラリルレロ」として,ラ行に一括されている状況である.もちろん,/ry ree roo ly lee loo/など,実際には,母音のパタンは/a i u e o/だけではない.ここでの要点は,/ra ri ru re ro/⇔「ラリルレロ」は一対一の対応が取れているが,/la li lu le lo/と一対一対応するカタカナが存在していないということである.そこで,その5字に対応するカタカナを創作した.

用例の1つ目は,なんとなく雰囲気で読めてしまうかもしれないが,Los Angeles Olympics (ロサンゼルス・オリンピック)である.英語の初学者は,オリンピックはOlympicsなのかOrympicsなのか,ロンドンはLondonRondonかで迷う.英単語テストで「アールだったっけ?エルだったっけ?」と悩んだ経験を持った人は多いだろう.これは,日本語のカタカナが/r//l/を書き分けてないことから由来する混同である.そのような意味でも/la/行を補完する必要性は高い.

新しい/la/のカタカナを,「拉」を参考に作成した.「拉」は,現代中国語のピンインで/la/とローマ字表記する.具体的に参考にした部分は,つくりの「立」の1, 2, 4画目の配置を抽出し変形した.また,その際,「ラ」も参考にした.もともと「ラ」は「ウフワ」などにも似ているため,どのような形に落ち着かせるべきか非常に苦労した.

新しい/li/のカタカナは,「立」をモデルに作成した.「立」は,ピンインで/li/とローマ字表記する.具体的には,「立」の2, 3, 4画目の配置を抽出し変形した.また,その際,「リ」も参考にした.

新しい/lu/のカタカナは,「率」をモデルに作成した.「率」は,ピンインで/lu/とローマ字表記する.具体的には,「率」の中身の「幺」を抽出し,この部分の1, 2画目を横に寝かすように変形させた.また,その際,「ル」にも似るように心掛けた.

新しい/le/のカタカナは,「了」をモデルに作成した.「了」は,ピンインで/le/とローマ字表記する.具体的には,「了」の上の部分と,カタカナの「レ」を組み合わせるようにして作成した.

新しい/lo/のカタカナは,「露」をモデルに作成した.「露」は,ピンインで/lo/とローマ字表記する.具体的には,「露」といっても,あまりにも部分的なためほとんど面影はなく,カタカナの「ロ」の左の棒を長くしただけのものとなっている.実は,ローマ字の/lo/における/l//o/2文字を癒着させるイメージで作成したが,「露」の部分を抽出したと強弁できなくもない感じである.通常の50音図でも,もとの漢字のあまりにも細かい部分を取り出したために,カタカナの字形からもとの漢字を想像できないものも多い.そういう意味で,新しいカタカナからもとの漢字を想像できる必要はない.

新しい/la/行の5文字を,それぞれ「ラリルレロ」に似せたのには訳がある.我々は,文章を読むときに,11つの字の語形を認知するという非効率的なことはやっておらず,単語を1つのカタマリとして認知し,少しくらい読み飛ばしても適切に補いながら,かつ,文章の先々を予測しながら高速に処理している.したがって,あまりにも「ラリルレロ」の字形から離れると煩く感じられてくる.従来の字形と似ているほうが前後の語に埋もれた時の違和感が減り,読んでいるときの認知的負荷が低下すると考えたからである.