WA行 |
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最終更新日:2009/08/24
慣用的には,「ワイウエヲ」が用いられ,その際の発音は,/wa i u e o/である.表中の赤枠は,/wu/に相当するカタカナである. |
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本項では,新カタカナ表の/wa/行を補完した.普通の日本人には,「ワ」と「ヲ」以外になじみがない.ただし,「ヲ」は,通常は/o/と発音する.ここでは,「ヲ」は/wo/と発音するものとして登場させているが,もはや「ヲ」を/wo/と発音する人はいないから,あえて別のカタカナを作成してもよいかもしれない. |
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「ヰ」は,見慣れないがれっきとした由緒あるカタカナの一員で,UnicodeにもシフトJISにも登録されている.対応するひらがなは「ゐ」である.日本文学に詳しい人は,森鴎外の著作『ヰタ・セクスアリス』という作品で見かけたことがあるだろう.読み方は「ウィタ・・・」である.これは,vita sexualis (性欲的生活)をカタカナ表記したものであるが,ラテン語読みなので,「ヴィタ」ではなく「ヰタ(ウィタ)」となっている.類似の例としては,virus (ウィルス)もラテン語読みである.カタカナの長い歴史の中で,「ヰ」は,「イ」に取って代わられる形で劣勢を強いられてきた.現在は,/wi/という発音は,「ウィ」と慣用表現され,すでに定着しており,昨今の外国人名・地名を表記する上では欠かせない.しかし,我々の祖先がせっかく作った文字なので,ぜひ使っていきたいところである. |
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/wu/に相当するカタカナには,赤線が設けてある.この形式は,カタカナの歴史の中で,かつて存在していたけれども,あまり用いられなかったために歴史の傍流に押し流され,現在では,UnicodeやシフトJISにも登録されていない文字である.したがって,新作文字ではなく,由緒正しき伝統文字である.非常に美しい字形だと思う.しかし,/u/と発音され,「ウ」と混同されていく中で,ほとんど消え去ってしまった.本項では,そんなカタカナを/wu/に相当する発音を担当する文字として復活させ,馬渕和夫『五十音図の話』などの資料を参考に再現した. |
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/we/のカタカナは,「ヱビスビール」でおなじみの「ヱ」である.対応するひらがなは「ゑ」である.しかし,ヱビスは,厳密にはYebisuである.歴史的に,「ヱ」はヤ行に分類されたり,ワ行に分類されたりと立ち位置が揺らいでいる.しかしながら,現在ではワ行として分類され,UnicodeやシフトJISに登録されている./we/は,慣用的に「ウェ」と表記され,ほとんど定着しているが,せっかくこのような文字があるので,積極的に使っていったらどうか.ただし,あまりにも「エ」と酷似しているために,混同しやすいので,しっかりと書き分ける訓練をしなければ「ヱ」が定着するのは難しいであろう. |